ぷろのーと

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新のぞき屋を全巻読んだ感想

新のぞき屋を全巻読みました。山本英夫先生の作品です。

全部で11巻なので、全巻読もうと思っても読みやすい作品です。

また、話もテンポよく進み、ギャグ的な部分もあるのでさくさく読むことができますが、内容や描写的に小さい子どもには読ませたくない作品ではあります。

また、"人の闇をのぞく!"といった煽り文句がついているのを見かけましたが、いわゆる裏社会をのぞくというものではなく、ふつうの家庭をのぞく作品です。そのためリアリティは感じやすいかと思います。

"新のぞき屋"の主人公は"のぞき屋"をしている見(ケン)です。"のぞき屋"は依頼を受ければどんな人間の生活でものぞくという探偵ものです。

探偵ものといっても殺人事件が起きて、それを解決するみたいなものとは違って、現実での探偵の仕事に近いものになっています。

他に新人のスマイルやイルカ並みの聴力を持つ聴(チョウ)らと共に調査依頼を通して、様々な人間模様をのぞいていくという作品です。

一つの依頼に対して10話以上つかって、対象やその周りの人間模様が丁寧に描かれています。ドラマに近いところがあるかなと思います。

のぞき屋ということですが、のぞき、盗聴、ピッキングなどいろいろな手段が登場しました。こういう部分はリアリティがあったと思います。

ただ個人的には描かれた時代を感じる作品でもありました。現在2018年ならスマートフォンに盗聴用のアプリを入れたりなんてことがありそうですが、公衆電話やポケベルが現役の時代です。盗聴やのぞきもそういった時代を反映したものになっています。

完結はしているようですが、主人公の過去や主人公とヒロインとの関係などはあまり深く描かれていないように感じました。正直、全巻読んでも"ここで終わりなの?"という感想です。物語の伏線や登場人物の謎などがすべて描かれて読み終わったときに爽快感があるような作品もありますが、これはそういう作品ではないと思います。

ふつうの家庭の人の人間模様が描かれた作品が読みたいという人や、20年前くらいの探偵の仕事の雰囲気について感じてみたい人にはおすすめできる作品だと思いました。