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実名公表・実名報道の意義についての個人的な意見とまとめ

事件、事故の被害者の実名の公表について、自分が調べ考えたこと、意見を整理します。

考えるきっかけは、京アニの放火殺人事件で、京都府警が犠牲になった35人のうち身元の公表されていない25人の公表を求める申し入れ書を提出したという内容であり、最初は実名公表を求める必要はないと思ったものの、考えなどをここで整理しました。

結論としては、内容が真実であることを保証するためには実名公表・実名報道は必要であるが、京アニの放火殺人事件のような真実であることがある程度は保証され、世間の注目も高いような事件では、実名公表は時期を慎重に判断していいのではないかと思います。

ただし、そもそもこういう議論が生まれた原因はマスメディアの集団的過熱取材(メディアスクラム)など、マスメディアに自浄作用が無いことが大きな原因であることを付け加えておきます。

 まずは、実名公表、実名報道について一般論から整理します。

実名公表と実名報道

まず、実名公表と実名報道は似ているようで異なるといえます。厳密な定義はないようですが、次のように違いがあるといえそうです。

実名公表:警察などが確認した身元や実名を、取材を行うマスメディアなどに発表する

実名報道:実名をマスメディアなどが新聞やテレビなどで報道する

この記事では、実名公表と実名報道を次のように使い分けます。

実名公表で起こることと意義

まず実名が公表されると、なにが起こるか(できるようになるか)を整理します。

・マスメディアが正確に、遺族などに取材を行うことができ、正確に事件、事故を把握できるようになる

・マスメディアが正確に実名報道を行うことができるようになる

次に被害者の実名公表の意義、つまり実名公表が必要な理由です。

実名公表が必要な理由は、警察などの発表が真実であることを保証するための一つしかないように思います。被害者の実名が公表されなければ、警察などにより事件が捏造される可能性があるわけです。そういった公権力の暴走をマスメディアが監視するためには、実名公表は必要です。

警察などの公権力の監視のためには、今後も実名の公表は必要であるといえます。

実名報道の意義

実名報道の意義や必要性については、この記事に書かれているように"現実を共有するため”や"無念や悲しみを伝えるため”など意見はマスメディアによっても様々な意見があるといえますし、報道に関わる人それぞれが意義をもっているともいえます。

しかし、私は被害者の実名報道が必要な理由もまた、マスメディアの報道内容が真実であることを保証するためしかなく、他の意義は報道する側のそれぞれの勝手な意見であると考えるに至りました。

マスメディアの報道内容が真実であることを保証するために実名報道が必要であるということは、正しいと思います。被害者を匿名で報じると、その事件が本当に起きたかどうかを確認する手段が一つ失われるということは間違いないと思います。

しかしながら、これまでも事件によってはマスメディア側の判断で匿名で報道された特例もあります。また、例えば「〇〇市〇〇区で25歳の男性会社員が殺害された」といったような被害者の匿名報道でも、事件の起きた地名、被害者の年齢、性別などのみでも、その報道が真実であるかどうかを確認することは可能だと考えられます。

そのため、被害者の実名報道を行う以上、今後もマスメディアがその必要性を示していく必要があるといえます。

この他の様々な意義ですが、大別すると、悲しみや無念などの感情をマスメディアが伝えるためと報道を受けた側が考えるためがあるように思います。

感情を伝えるためという点は、実名報道などから感情を伝えやすくなる可能性はありますが、匿名報道では感情を伝えられないとはいえませんし、重要性は低いといえるのではないかと思います。

報道を受けた、知った側が考えるためという点では、実名報道によって身近に感じるといった可能性はありますが、これも匿名報道では考えないとはいえませんし、重要性は低いといえると思います。

実名公表・実名報道の問題点と京アニの事件について

実名報道には少なからず意義があるにもかかわらず、京アニの事件で実名公表がされないようになった理由は、これまでのマスメディアの集団的過熱取材(メディアスクラム)が大きな原因であることは間違いないと思います。これまでのマスメディアの取材態度や世間の注目性から今回も実名公表すると集団的過熱取材(メディアスクラム)が起きる可能性が高いという判断は異論がある人のほうが少ないように感じます。

また、京アニの事件に関していえば、被害者のうち実名が公表されている被害者もおり、火災の写真や映像、火災の現場の状態から、事件が真実であることの保証ができるという点では、実名公表が速やかに行われる必要性はないように思います。

また、実名公表と実名報道と遺族や関係者への取材の可否、取材の態度は分けて考えるべき話であり、実名公表を求める前にマスメディアの取材の態度などを問題が無くなるようにするほうが先であるべきだと思います。

また、被害者について取材や報道を行う限り、どんなに配慮したとしても、被害者を傷つけることにはなると思います。マスメディアは被害者を傷つけながら、被害者について報道を行い、利益を得ている以上、利益の一部を被害者支援に使うことがマスメディアの義務ではないかと思います。

参考にさせていただいたサイト・記事

togetter.com

www.j-cast.com

ja.wikipedia.org

www.jiji.com

www.j-cast.com