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S-最後の警官-を全巻読んだ感想

"S-最後の警官-"を全巻読みました。作画は藤堂裕先生、原作は小森陽一先生です。原作の小森陽一先生の携わった作品は"海猿"や"我が名は海師"、"天神-TENJIN-"など読んだことがありますが、いずれもリアリティと緊張感のある作品で面白い作品が多い印象です。

 "S-最後の警官-"はドラマにもなったようで、それで知っている人も多いようです。自分はそのドラマは見たことがありませんでした。マンガは全20巻と分量としては読みやすいものになっています。

SATやSITが凶悪犯罪者を殺害制圧することが許可された舞台であるのに対して、SATの機動力とSITの捜査力を併せ持ち凶悪犯罪者を生きたまま確保することを目的とした少数精鋭部隊、警察庁特殊急襲捜査班(National Police Safetyrescue、NPS)が主役の話です。NPSは架空の部隊ということになっていますが、SATやSITなどの実在する部隊やダッカ事件、3.11東日本大震災など実際の出来事もマンガの中に登場しリアリティのある内容になっています。

特にNPSのメンバーは、様々な事件を通して、そのキャラクターがしっかり描かれていっている点もこの作品の面白さの理由の一つだと思います。テロリストとの対決の中で登場する作戦もリアリティや意外性があるものがあり、楽しむことができました。

また犯罪者やテロリストも不快感や嫌悪感を感じるような人物から、魅力を感じてしまうような人物までいろいろ描かれており、事件の舞台も様々なものが描かれるため最後まで飽きることのないマンガでした。特に正木圭吾によるシージャック事件は読んでいて非常に面白かったです。テロリストである正木圭吾の主張にも共感してしまう部分があり、登場人物がただの異常な犯罪者だけではないという点がこのマンガの奥深さの一つだと思います。

また、ただ犯罪者を捕まえておしまいというわけではなく、犯罪者の殺害制圧と確保については、マンガの中でも幾度となく議論されており、犯罪者の取り扱い方について考えさせられるマンガでもあります。

警察や特殊部隊とテロリストとの対決や、サスペンスや陰謀などが好きな人はオススメのマンガだと思います。